ひろゆき氏の切り抜き動画から学ぶ評価経済社会の生き残り方

youtube 経済・テクノロジー
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今、匿名掲示板「2ちゃんねる」開設者である西村博之(通称:ひろゆき)氏が、インフルエンサーとして大活躍しています。

その若者に対する影響力は絶大なものです。

たとえば、ソニー生命保険が実施した「中高生が思い描く将来についての意識調査2021」において、「将来のことを相談したいと思う有名人」で3位、「”将来こういう大人になりたい”と思う有名人」で男子部門同率3位、全体10位にランクインしました。

その影響力拡大に使われているのが、youtubeにおける本人の「live配信」と不特定多数の動画投稿者による「切り抜き動画」というシステムです。

abemaの特集「その正体は?ひろゆき動画”切り抜き”職人…いくら稼げる?本人が黙認のワケ」によれば、1か月での動画の再生回数が2億4000万回以上で、このペースが続けば年間の再生回数が去年一番再生されたYoutuberの約3倍にも及ぶそうです。

■切り抜き動画
主に長時間のlive配信の面白かったシーンや印象的なシーンを切り抜き、短時間の動画に編集し直したもの。本人以外の不特定多数の動画投稿者がおこなう。
短い動画で暇つぶしをしたいというニーズに合致している。

現在はインターネットによって、誰もが情報を発信できる時代になりました。

その結果、評論家の岡田斗司夫氏の表現を借りれば、誰もが他人に影響を与えることを競争する社会「評価経済社会」に移行しつつあります。

例えば、これまではテレビというマスメディアを通じてのみ影響力を行使していた芸能人たちが、次々とyoutubeに参入してきています。

また、芸能人ではなくとも、副業としてyoutube配信を考えたり、仕事でSNSを運用している人も少なくないのではないでしょうか。

そういった、多くの人たちにとって、評価経済社会で大きな影響力を発揮するひろゆき氏と切り抜き動画のシステムを知ることはプラスになるはずです。

この記事ではひろゆき氏の切り抜き動画というシステムを通して、評判経済社会の生き残り方を考えていきたいと思います。

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評価経済社会の本質を考える

評価経済社会とは何か

岡田斗司夫氏の『評価経済社会』によれば「評価経済社会」とは以下のように定義されています。


岡田斗司夫『評価経済社会』ダイヤモンド社、2011年。

ネット内では誰もが情報発信者、つまり影響を「与える側」になり得るし、同時に誰もが「受ける側」でもあります。

みんながそれぞれ、人に影響を与えるために情報を発信する。

情報を受け取った側は、「情報」だけでなく「価値観」も同時に受け取って、影響を受ける。

その結果、「受けた側」は「与えた側」を評価します。「評価」と「影響」をお互いに交換しあう社会。 これを、私は「評価経済社会」と名付けました。

これまでは、貨幣によってモノやサービスが交換されていました。

貨幣によって交換がスムーズになることで、社会にモノやサービスがいきわたりました。

しかし、モノが十分に流通して飽和状態になると、人々が気づき始めます。

モノはある。社会はどんどん便利になっている。しかし、満たされない。

人々は豊かさが必ずしも幸福をもたらすわけではないことを感じ始めます。

実際に国連の持続可能な開発ソリューションネットワークSDSNによる「世界幸福度調査World Happiness Report2020」を見てみても、国の経済的な豊かさと主観的幸福度は必ずしも相関しているわけではなりません。

無意識か意識してかの違いはあれど、一度そのことに気づいてしまった現代の人々は別のものを求め始めています。

それが、これまで権力者のみが持っていたけれど、ITテクノロジーによって個人に解放された「影響力」=「評価」です。

「承認」と言ってもいいかもしれません。

人々が貨幣より評価を求め始めると、その力関係が「評価>貨幣」として明確化されます。

例えば、登録者数が100万人以上の人気youtuberが一億円を稼ぐことはできますが、一億円を持っていたからと言って人気のyoutuberにはなれません。

評価があれば貨幣は作ることができるようになりますが、その逆はないのです。

このようにして「貨幣経済社会」から「評価経済社会」への遷移が進んでいくことになります。

評価経済社会こそ残酷な世界である

しかし、ITテクノロジーによって誰もが発信できるようになったからと言って、誰もが評価と影響力を持てるわけではありません。

例えば、youtuberの登録者数を考えてみれば明らかですが、一部のyoutuberに人気が集中する一方で、ほとんどのyoutuberは鳴かず飛ばずな状況になります。

調査会社のペックス(Pex)によると、YouTubeにアップロードされている88.4%の動画は、再生回数が1000回以下とのことです。
(参考:fashionsnap「レッドオーシャン化したYouTube界、再生回数10万回以上は全体の1%以下に」

貨幣経済と同じように評価経済にも格差があるわけです。

さらには、橘玲氏の『無理ゲー社会』が述べていることですが、評価経済の方がより自体は深刻かもしれません。

橘玲『無理ゲー社会』小学館、2021年。

なぜならば、貨幣であれば税金や社会保障を通じて再分配が可能ですが、評価は再分配できないからです。

「youtuberの登録者数格差をなくすために、君はHIKAKINの登録を解除して、あの登録者数10人のクソつまらない配信者の登録をしてくれ」と言われて誰が従うでしょうか笑

このように、「評価経済社会」でこそ、格差はむき出しのまま人々に襲いかかってくるのです。

切り抜き動画の評価経済社会とのかかわり方

切り抜き動画の仕組み

では切り抜き動画とはいったい何なのでしょうか。

定義自体は先ほど述べたように以下の通りです。

■切り抜き動画
主に長時間のlive配信の面白かったシーンや印象的なシーンを切り抜き、短時間の動画に編集し直したもの。本人以外の不特定多数の動画投稿者がおこなう。
短い動画で暇つぶしをしたいというニーズに合致している。

ただここで、一つ疑問が浮かぶかと思います。

収益はどうなっているのか?著作権違反ではないのか?

ある人が投稿した動画を別の人が投稿するわけですので、当然浮かんでくる疑問かと思います。

しかし、youtubeというプラットフォームは、すばらしい仕組みによってこの問題をクリアしています。

youtubeにはContent IDという仕組みが実装されています。

Content ID
動画や音楽の権利者が権利物をあらかじめ登録することで、youtube上に投稿された著作物を検出し、その利用をコントロールする仕組み。

権利者は著作物に対しては以下のようなオプションで管理できる。

・閲覧できないよう動画全体をブロックする

・動画に広告を掲載して動画を収益化し、場合によってはアップロードしたユーザーと収益を分配する

・その動画の再生に関する統計情報を追跡する

この仕組みによって、元の動画の投稿者は「切り抜き動画」から上がる収益が自分に入るように設定することが出来ます。

例えばひろゆき氏であれば、切り抜き動画から上がる収益の50%を自分に入るように設定しているといいます。

ひろゆき氏は自動で収益が入るし、動画の拡散につながる。

切り抜き師は自分の作った動画から収益を上げることが出来る。

このようにプラットフォームの力で、本来利益が競合していたはずの2者間にWIN-WINの関係が構築され、切り抜き動画というシステムは成立しているのです。

評価経済という視点から見た切り抜き動画

評価経済という観点から見たときに「切り抜き動画」が面白いのは、それは評価経済的勝者ではないにもかかわらず、評価経済の恩恵を受けているということです。

例えば、評価経済の最たる例であるクラウドファンディングを考えてみましょう。

クラウドファンディングは「人気者」が仕掛け、金銭を集める仕組みです。

出資する側はあくまで、サポータとして「人気者」を応援するだけで、評価経済から恩恵を受けることはありません。

クラウドファンディングで恩恵を受けようと思えば、評価経済的価値を獲得する必要があります。

一方、切り抜き動画はどうでしょうか。

切り抜き動画を作っている切り抜き師は有名でも人気でもありません。

むしろ多くの切り抜き師は顔や声など、自分を感じさせるものは一切隠している場合がほとんどです。

にもかかわらず、切り抜き動画から収益を上げるというように、評価経済から恩恵を受けています。

つまり、自分自身が評価経済で勝たなくても、評価経済的勝者の「評価」を活用することで、評価経済から恩恵を受けることができるのです。

切り抜き師は、あくまで編集などの裏方の作業の努力をしたということが前提ですが、自分が人気者にならなくても、人気者を見つけさえすればいいのです。

そして見つけた後、岡田斗司夫氏の『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』の表現を借りれば、「うまくやっている人の役に立つか、うまくやっている人の機嫌を取るか」をするわけです。


岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』PHP研究所、2018年。

まとめ

評価経済社会では、貨幣経済と比べてむしろ格差は拡大します。

そこで「勝ち組」になるためには、人気者になる資質が必要でした。

しかし、WIN-WINになることが出来るように設計されているプラットフォーム上であれば、人気者にならなくても、評価経済から恩恵をえることができます。

プラットフォーム次第では、「自分がすごい人になるか、すごい人を見つけるか」というように評価経済の活路を見出せるのです。


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