結露で濡れた部屋の窓が目に入る。
暖房によって部屋が温められている証拠だ。
しかしどこか肌寒い気がする。
どうしようもなく窓から冷気が伝わってきているのであろうか。
それとも、ひとりぼっちで過ごす大晦日という初めての試みが、身体を凍てつかせるほど、心を底冷えさせているのだろうか。
一人で寝る夜はいつものはずなのに…
スーパーで忙しそうに主婦がカゴいっぱいに鍋の具材を詰め込んでいた光景が、ふと、脳裏に浮かんだ。
ひとりぼっちの大晦日・正月の過ごし方
コロナが生じさせるひとりぼっちの大晦日と正月
今年はコロナで帰省をとりやめた人は少なくないのではないか。
かといって、コロナ第一波の時ほどの自粛ムードはなく、意外と友人や恋人、同僚は帰省していたりする。
その中途半端さがかえって、周囲の人との予定合わせを困難にし、大晦日・正月をひとりぼっちで過ごすことを余儀なくさせる。
一人で過ごす夜なんて、単身の社会人にとって慣れっこのはずなのに、今日だけは孤独感が頭を蝕む。
周りの団欒の空気にあてられたのか。
はたまた生まれてから20数年間の「大晦日・正月とはこういうものだ」という刷り込みがそう感じさせるのか。
ひょっとしたら、普段テレビ番組を見ないためにテレビが自室になく、実家であれば見ていたガキ使や紅白を眺めていないことが原因かもしれない。
話を戻そう。
今年のコロナは孤独な単身者を生じさせた。
こう考えると僕は、普段煩わしい思っていた帰省や行事での集まりから、一定の恩恵を受けていたのかもしれない。
煩わしい人間関係への絆コストがひとりぼっち回避には必要
かといって「やっぱり家族や!」と単純には思えない。
普段一緒に生活をしていると、煩わしいことの方が多く、一人の方がずっと気楽だからだ。
これは、家族に限らず、その他の人間関係にも当てはめることができる。
割と一人が好きな僕にとっては、年がら年中、友人や恋人と常に予定を合わせて行動を共にするのは気疲れする。
かといって、例えば今回の大晦日や正月のように、一人だとどうしようもなく寂しくなる日がある。
このことを考えるとき、ある言葉が思い出される。
社会学者の宮台真司の「社会はいいとこどりできない」という言葉だ。
宮台真司『社会という荒野を生きる。』ベストセラーズ、2018年。
どういうことか。
普段の日常生活において人間関係とは煩わしいものである。
人間関係を友人や家族から、地域社会の近隣住民に置き換えるとより分かりやすいかもしれない。
地域社会で恩恵を受ける、例えば自分が旅行の時にペットの面倒を見てもらうなど、ためには普段からきちんと人間関係を築いておく必要がある。
しかしそのためには、普段から挨拶やお土産などを通じて近隣住民と人間関係を築いておく必要がある
人間関係はデメリットを切り捨て、メリットだけを享受することはできない。
絆から利益を享受するためには、普段から絆を維持するコストを支払っておく必要があるということだ。
逆に考えれば、人間関係に疲れたなら無理する必要はないということである
人間関係はデメリットを切り捨て、メリットを享受することはできない。
普段は煩わしい家族や親せき、恋人も大晦日や正月には一緒にいたいものなのだ。
しかし、「普段は人間関係は煩わしい」ことで、逆転した救済の可能性も見えてきたように思う。(あるいはそう思い込むことにしよう笑)
それは、年に1、2度訪れる寂しい夜を耐えられさえすれば、無理に家族や親せきと関係を維持したり、無理に恋人を作ったり、そこまで親しくない知り合いに愛想笑いする必要はないということである。
これは人間関係なんて切っちまえ!という軽視の発想ではない。
ただ、どうしようもなく人間関係に疲れ、それでも「こうあらねばならない」という強迫観念に苦しめられている人であれば、この開き直きなおりは救いになるかもしれない。
年に1、2度の寂しさを回避するためにそこまで無理をする必要はないよ、と。
それに今では、様々なサービスや娯楽があり、年に1、2度の寂しさをやり過ごす手段も充実している。
最後に、おススメのやり過ごし方を数点紹介して終わろう。(タイトルなのに漂うおまけ感…笑)
ひとりぼっちの大晦日・正月の過ごし方
映画のレイトショー
部屋で一人でいると孤独感がつのる。
かといって、人がにぎわっているところに独りでいると、余計孤独感が増す。
これぞ「孤独の誤謬」問題だ。(知らん)
そういう時には、一人でいて不自然ではなく、かつ情報が常に頭に入ってきて孤独感を弾き出してくれる場所がいい。
そこで、映画のレイトショーがおすすめだ。
これが単館系ならさらによい。
映画は一人でいるのが自然で、周囲と比較する機会は少ないし、見ている間は余計なことを考えなくて済む。
間違っても真っ暗な部屋でブランデーを傾けながらジャズを聴き、村上春樹を読んだりしてはいけない!
生配信系動画サービス
自分の部屋で読書や映画鑑賞をしていると、ふとした時に孤独感が頭にもたげる。
youtubeも危険かもしれない。
それはなぜか。
それは時間軸が一緒ではないからだ。
相手は一方的に話しているだけで、視聴者と同じ時間を過ごしてはいない。
静止ボタンを押せば、相手の時間は永遠に止まり続ける。
それは、余計に孤独感をつのらせる。
時間軸的な孤独、それは宇宙にただ一人のような感さえ与える。
もしくは、不老不死の怪物が、かつての仲間がみな老衰し、孤独の中を永遠にさまようかのようだ。
そこでおすすめなのが、生配信系動画サービスだ。
インスタライブやyoutubeLive、ニコ生など、こちらのコメントに相手がリアクションを返してくれれば、時間軸を共にすることができる。
温泉・スーパー銭湯
風呂なら一人で入るのが自然だし、サウナに入っていれば頭のなかもスッキリ。
凍てついた心も体が温まれば溶けるはず!
ただリラクゼーションルームに長居は無用。
カップルや家族連れに遭遇する危険性あり!