皆さんはご自分のパソコンにウイルス対策ソフトを入れていますでしょうか。
おそらく大多数の人のYESだと思います。
クレジットカード情報の抜き出しや、犯罪への利用、メールの盗聴。
入れていないと気付かないうちにどれだけ攻撃を受けるかわからないですから。
では、自分の人生にはウイルス対策ソフトを入れていますでしょうか。
もし入れていないとすれば、非常に危険な状態です!
知らない間に別の誰かからひたすら攻撃を受け、大切なものを奪われ続けている可能性があります。
「でも、人生におけるウイルス対策ソフトってなんだよ!そんなものどこで手に入るんだよ!」
それをこれから説明します。
本記事では、社会学者宮台真司氏と様々な著名人との対談集『宮台真司ダイアローグス〈1〉』を読み解くことで、今日の世界の真相を解き明かします。
この記事を読むことで、今日の社会を生きるための生存戦略を再考し、外敵から身を守るウイルス対策ソフトをインストールすることができます。
現代社会はリベラルが蔓延する社会
ここで質問です。
現在の世界はリベラルな方向に向かっているでしょうか。それとも排外・反知性といった反リベラルな方向に向かっているのでしょうかでしょうか。
「うーん…トランプ現象やブリグジットがあるし、反リベラル!」
短期的・一時的にはそう見えます。
しかし、長期的視座に立てば明らかにリベラルな方向に向かっています。
これは橘玲氏が『上級国民/下級国民』で述べていることですが、世界では女子の地位向上やLGBTの地位向上などマイノリティの権利が拡大しています。
これは明らかに「人に迷惑をかけない限り自由な主義主張を尊重する」というリベラルの拡大です。
トランプ現象やブリグジットは社会のリベラル化が行き過ぎたからこそ発生した反発に過ぎないのです。
比較的遅れているとされる日本においても日本でも夫婦別姓が議論されるなど周回遅れでリベラルの波は押し寄せています。
『宮台真司ダイアローグス〈1〉』でも別の観点から同じことが書かれています。
今日の社会においては、どんどん共同体が解体が進んでいて、その共同体に支えられていた価値観が揺らいでいます。
戦後、都市の出現で農村共同体が解体したことで、村の人間関係が全てで同じ村の人と支え合うという価値観が当たり前のものではなくなりました。
その代わりを担った会社共同体も終身雇用・年功序列が揺らぐ中で解体が進み、会社の運動会に参加したりモーレツな働き方をしたりといった価値観は当たり前のものではなくなりました。
価値観が当たり前ではなくなるとどうなるでしょうか。
特定の価値観が絶対的地位を占めることがなくなり、価値観は選択可能な趣味の問題になります。
「巨人、阪神ファン以外は人にあらず」の時代から多様なファン層の時代へ。
まさに「人に迷惑をかけない限り自由な主義主張を尊重する」というリベラル化です。
社会がリベラル化するとどうなるか
価値観を支える土台が不安定になり、それぞれの価値観が相対的なものになったとき一体何がおこるのでしょうか。
宮台真司氏の言葉で言えば「情報戦」です。
自分の価値観のすばらしさの主張合戦が始まり、より多くの人を自分の価値観に巻き込もうとします。
価値観に基づいた大衆の動かし合いです。
自分自身の価値観が確立されている人は、「自分の大切なもの、優先すべきものはこれだ!」と外部からの「情報攻勢」をはねのけることができます。
しかし、自分自身の価値観が確立されていない人は、絶え間なく行われる価値観の宣伝合戦にさらされ、必ず何かしらの価値観に捕まることになります。
例えば、自分の目標が不明確な人は、どうしてもやらなければならない事もないため、youtube等の日常を取り巻く娯楽に気づいたら空いた時間を持ってしまう、ということが多いのではないでしょうか。
youtuberなどの自分の世界観を持っている人に価値観を持たない人が巻き込まれているわけです。
もちろん、娯楽として楽しむ分には問題ないですが。
このように自分の価値観・ビジョンという「ウイルス対策ソフト」をインストールしていない人は、価値観・ビジョンを持った人の「価値観ハック」にさらされ、時間やお金などの自分のリソースを持っていかれてしまいます。
まとめ
現代社会ではリベラルな価値観が拡大を続けています。
そのことは価値観というものが、みんなが共有する当たり前ものではなくなり、個々の「趣味」の問題、あるいは取り巻く環境から「たまたま」決定するものになります。
「我々の価値観こそが真である」と主張する人たちが自らの価値観の拡大を求めて争う戦国時代の幕開けです。
そのような時代においては、自分の価値観・ビジョンを持っていない限りは、常に「情報戦」によって仕掛けられ、自分のリソースを一つ一つ奪われていくことになります。
様々な考え方・情報に意識的に触れて自分の価値観を明確にすることで、情報攻勢に対する「ウイルス対策ソフト」を導入することが必要不可欠です。