【感想】岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』から考える未来への適応

future2028 本・書評
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岡田斗司夫さんをご存じでしょうか。

アニメ制作会社ガイナックスを設立した元代表取締役社長であり、退社後は主にサブカルチャーの批評家として活躍されています。

また、オンラインサロンを一番最初に始め、堀江貴文さんなどが中心となる現在のオンラインサロン文化に影響を与えた方としても有名です。

彼の著書『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』を読みましたので感想を書きたいと思います。

岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』PHP研究所、2018年。

まず、以下は本の要約です。

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岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』の要約

基本的に『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』は未来を推測し、その変化に自分の行動や価値観を適応させることを推奨しています。

その未来の変化を一言で表現するならテクノロジーとグローバル化がもたらす競争の激化になります。

岡田さんがあげている例にyoutuberがあります。

自動翻訳機能が実装されていくいことで日本のyoutuberは海外youtuberと競わなければならなくなります。

またその次の段階として、人工知能が発展して、AIyoutberが参入してきます。

ゲームのNPCのようなキャラクターが、ゲームのような世界で、無限にコンテンツを生成し続けます。

岡田さんは毎日100回疲れる更新するマメさこそが、AIの脅威だとしています。

ではこのような競争が激化した世界ではどのような変化が生じますでしょうか。

「そこそこ」の人間は不要になり、最終的には数%の何でもうまくやる人以外の仕事はなくなります。

それは恋愛でも一緒で、一部のモテる人以外と付き合うのは「コスパが悪い」ことになり、「そこそこの人とつき合うことに労力を費やすぐらいであれば、テクノロジーでよりリアルになっていく無料の二次元のキャラクターの方がいいや」と考えるようになります。
(その世界がどのような世界であるのかをリアルに感じたい方は村田沙耶香さんの『消滅世界』を読まれることをお勧めします。)

その状況への解決策として、岡田さんは特に「幸せの再定義」を推奨します。

自己実現から生き残りへ。

数%の人しか成功できない状況で、自己実現を幸せに置いていたのでは、ほとんどの人が不幸になるしかなくなります。

だから、今はまず「生き残ること」を幸せととらえ直し、その状況を楽しめるようになる必要があるといいます。

成功したらラッキー位の感覚で精神で、いろいろ試し、自己満足の楽しみを見出してく必要があります。

岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』の示す未来への適応の困難

「そこそこ」の中間層が消滅していくのは様々な経済指標が示す様に、すでに起きていることです。
(参考:橘玲『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』

橘玲『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』PHP研究所、2019年。

なので、完全に中間層の役割がなくなるかどうかという程度問題はあるかもしれませんが、傾向としては疑いようがありません。

なので解決策として、「幸せの再定義」、悪く言えば「幸せの基準の下方修正」を採用するのも合理的であるように思います。

しかし、ここで一点問題があります。

人はそこまで簡単に自分の価値観・感情を修正できるのでしょうか。

この本を読んでしばらくは「将来的にはみんなそうなるのであれば、彼女できなくても低賃金でもいいや」と思えると思います。

しかし、それは長くは続かないでしょう。

自分だけが社会や周囲の人間とずれた価値観であり続けるのは非常に難しいことです。

会社の同期が転職に成功した、高校の同級生が結婚した、そのようなニュースを浴びせられるたびに、胸がきゅっとして、旧来の「自己実現」的価値観に引きずり戻されていくのではないでしょうか。

学歴に意味がないということが長く言われながら、なぜ人の行動パターンは変わらないのでしょうか。

「ひょっとしたら意味があるかも」「私が学歴信仰をやめても会社は学歴で採用し続けるかも」

そういった考えが頭をよぎることでしょう。

瀧本哲史さんの著書『君に友だちはいらない』に以下のような趣旨の記述があります。

瀧本哲史『君に友だちはいらない』講談社、2013年。

「天動説から地動説に世界が変わったのは、地動説を皆が信じるように変わったからではない。天動説を信じていた人が皆この世を去り、世代交代したからだ」

まさに、現在の環境への適応も、大多数の人にとっては「天動説」と同じなのではないでしょうか。

多くの人には自分の価値観を修正できず、古い社会と一緒に沈没してしまうことになるのではないでしょうか。

人は一度悲劇を経験しないと変われない、ならばその悲劇をなるべく早く迎えて、新しいスタートを早く切れたほうがいい。

たとえば、社会学者の宮台真司さんは「加速主義」として、そのような考えを紹介しています。

宮台真司『崩壊を加速させよ 「社会」が沈んで「世界」が浮上する』株式会社blueprint,2021年。

それとは逆の手段として、崩壊を迎える前に自分の価値観を修正するためにはどうすればいいのか。

その方法は、以前記事にしていますのであわせてご覧ください。

また、このトピックは今後も取り上げて深堀していきたいと思います。

岡田斗司夫『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』に関する余談

あと本筋からは外れますが、「自分で回答を考えるのではなく、大勢の意見から自分に合った意見を選ぶようになった」という記載はなるほどなと思いました。

コメント欄が無効になっているyoutube動画には、なにかもどかしさを感じている自分がいます。笑

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