雨と憂鬱とサラリーマン|雨の楽しみ方

Umbrella 考え方

最近ずっと雨が続いています。

皆さんは雨の日にはどのような心情になりますでしょうか。

私の好きな曲にking gnu『傘』という曲がありますが、そのポップで弾むような曲調とは裏腹に「心模様は土砂降りだよ」「三回目のアラームでようやく起き上がれそうな朝」「満員電車に息を潜め」 という憂鬱な歌詞が並びます。

この曲に限らず現代において、「雨」は「暗い心情」と結びつけられることがほとんどのように思います。

そりゃそうですよね!

傘をさし、それでも風で足元が濡れて靴下まで湿ってくる。

水滴が滴る傘を持ちながら、むわっとした湿気に満たされた満員電車に乗り込む。

雨の中出社するわずらわしさを考えるとどうしても憂鬱にならざるを得ません。

しかし、歴史的に考えてみると、「雨」と「暗い心情」必ずしも結びついていたわけではありません。

先日開催した読書会で、佐々木まなび『雨を、読む。』という本が紹介されました。

『雨を、読む。』は、かつて使われていた雨を表現する様々な語彙がまとめられた本です。

この豊富な語彙を見ると、かつての人々がどれだけ雨という現象を楽しんでいたのかがわかります。

読書会の中では、「人々が雨を楽しめなくなったのは近代以降にサラリーマンになったから。農民的な働き方だったら雨の日は仕事を休まずをえず、楽しむ余裕があったのでは」ということが話題になりました。

現代を生きる私たちが、「雨」と「暗い心情」の関係を断ち切って「雨」を楽しむためには、どうすればいいのでしょうか。

雨の楽しみ方を考える

雨を楽しむ条件①:環境と労働の連動性

先ほど記載した読書会での会話の中に一つ目のヒントがあります。

それは、「環境と労働の連動性」です。

農民の時代は環境と労働が連動していました。

雨が降るなどして環境が悪化すれば、労働も中止になりました。

「晴耕雨読」というやつです。

しかし、現代においては環境から労働が切り離されています。

台風でも来ない限り、仕事が休みになることはありません。

そのために雨によるデメリットを避けようがありません。

そうなると必然的に雨は「暗い心情」と結びつくことになります。

あらゆる仕事が市場に包摂された現代において、再び「環境と労働が連動」を回復することは困難です。

では逆に「環境と労働の切り離し」をさらに突き詰めてみたらどうでしょうか。

サラリーマン的労働が「環境と労働の切り離し」が中途半端だから、雨のデメリットが直撃する。

ならば、環境の中で天候だけでなく、場所や時間からも労働が切り離されればどうでしょうか。

いわゆる本田直之『ノマドライフ』に書かれているようなノマド的な働き方です。

本田直之『ノマドライフ』朝日新聞出版、2012年。

これが実現できれば、雨の日は家で仕事をするなど、雨のデメリットを回避することが出来ます。

しかし、これは『ノマドライフ』に書かれているように、実現するまでに時間がかかります。

ひとつ幸いなのは、現在リモートワークの普及が進んでいていることです。

リモートワークであれば、雨が降ろうが何が起ころうが関係ありません。

これによって、雨を楽しむ一つ目の条件である「環境と労働の連動性」を疑似的に解決することが出来ます。

雨を楽しむ条件②:コミュニティ

しかし、リモートワークになったからと言って、急に昔の人のように雨を様々な表現を使って楽しめるようになった人は少ないのではないでしょうか。

リモートワークになったからと言って、急に雨を「天が泣いている」とか言い出したら単にイタい奴です笑

というのも、言葉というものはコミュニケーションの道具だからです。

文脈を無視して一人で使ったとしても、言葉の豊かさを十分に楽しめるわけではありません。

「天が泣いている」が「雨」を表していることが分かり、かつその表現を「おしゃれ」と思うコミュニケーションの相手が必要になるわけです。

つまり、雨を様々な表現を使って楽しむコミュニティに入る必要があります。

えっ…めんど…

雨を楽しむ条件③:暇

現代でも雨を楽しむ条件として「環境と労働の連動性」と「コミュニティ」が出そろったところで問題があります。

「そこまでして、雨をわざわざ楽しみたくないよw youtube見まぁす」

ということですね(そりゃそうだ)。

現代社会においては、youtubeやNetflixなど簡単に享受できる娯楽があふれています。

限りある時間でそういった娯楽を差し置いて、雨を楽しむなんてできるのは、よっぽどこだわりが強い人か暇な人くらいでしょう。

そもそも、かつて雨を表現する語彙を使って楽しんでいたのは誰だったのでしょうか。

ほとんどは雨じゃなくても暇な「貴族階級」だったはずです。

農民は雨で外で仕事が出来なくても、生活のためにやるべきことがあったはずです。

同様に休暇が限られた働き方をしている現代人が、雨をわざわざ楽しむ心情になることは限りなく難しそうです。

そうなると、「雨」と「暗い心情」は依然として結びついたままとなります。

雨と憂鬱とサラリーマン

では、「雨を楽しむ」ことは諦めてみましょう。

逆に「雨」と「暗い心情」の結びつきを利用して、生活を充実させるのです。

つまり、「憂いをおびた表情のボクかっこいい!」的に「雨」による「暗い心情」に酔うことで、より没入できる娯楽を雨の日には始めてみましょう。

結論、king gnuの『傘』やJazz調の曲を聴きながら、村上春樹を読む!

そして「やれやれ」とかつぶやいてみる!

これしかない!

…やれやれ。

 


雨の日にはぜひオンライン読書会にご参加ください。

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