エレベータを待っているときやレジに並んでいるとき、思わずスマホを取り出してしまったことはありませんか。
家でテレビを見ているとき、なんとなくスマホを触ってしまってはいませんか。
ひょっとしたらそれはスマホによって脳をハッキングされているからかもしれません。
この記事ではアンデシュ・ハンセン『スマホ脳』の重要なポイントをまとめます。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』の3つのポイント
・人間の脳は狩猟採取時代から進化しておらず、現在のデジタル環境に適応していない。
・スマホをはじめとするITテクノロジーは脳の仕組みを利用して、脳をハッキングしている
・現代テクノロジーへの防衛策を講じることが幸福感の向上につながる。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』の要約
本書は進化生物学的な観点から、現在のデジタル環境が現代人の精神状態に与える影響を分析し、警鐘を鳴らしている書籍です。
人間の脳1万年前のまま
私たちの社会は急速な進化を続けています。
特にインターネットが出現してからの変化の速度は指数関数的に爆発しています。
しかし、私たちの脳は社会ほど急速に進化出来てはおらず、1万年前の狩猟採取時代からほとんど変化していません。
例えば、私たちの脳はネガティブな情報に反応しやすいという特徴があります。
私たちの先祖はたくさんの危険に囲まれた生活をしていました。
自然の災害や病気、食料の不足、ライオンなどの野生生物、敵対するコミュニティの人間など。
人口の一割から二割は他の人間に殺されていたというデータもあります。
その様な環境の中ではネガティブな情報に反応し、常に不安でいることは、人類の生存にとって有利な特徴でした。
しかし、現在はそのような危険性はほとんどありません。
むしろ安全に暮らせすぎて、食料もあり余り過ぎていることで生じる生活習慣病が死因の上位を占めているほどです。
(参考:厚生省「死因順位別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率」)
現代社会においては、かつてのように不安でい続ける必要はないのです。
にもかかわらず、情報が氾濫している現代においても脳はネガティブな情報に強く反応し続けています。
そのネガティブな情報の濁流に晒され続けた結果が、物質的には豊かになったはずの現代人の精神状態の悪化なのです。
脳はスマホによってハッキングされている
また、脳の構造と現在の社会の環境にギャップがあるだけではなく、そのギャップを利用して利益を得ている人たちがいると『スマホ脳』は主張します。
その代表が、スマホやソーシャルメディアにかかわる企業です。
そういった企業の多くは行動科学や脳科学の専門家を雇用しています。
そして、狩猟採取時代から変わることがない脳のシステムをどのように利用すれば、一番効率的に人々を中毒にして、広告費などの利益につなげられるのかを考えています。
たとえば、私たちの脳は新しい情報が与えられたときにドーパミンなどの快楽物質がドバドバ出ます。
危険がたくさんある狩猟採取時代では、新しい情報を取得する様に動機づけられることが生存にとって有利に働いていたからです。
デジタル機器はその脳の構造を利用し、使用者がひっきりなしに新しい情報に晒され続ける環境を作っています。
リンクページやレコメンド、関連動画など例をあげればきりがありません。
その結果、現代人はスマホを使っているときに脳内快楽物質がドバドバ放出されるだけでなく、その快楽の中毒性からスマホを手元に置いておかないと、なんとなく落ち着かない気持ちになるようになりました。
その結果、現代人の「集中力」とパフォーマンスが低下していることが確認されています。
筆者は大学生を相手に片方のグループには電子機器の持ち込みを許可し、片一方には禁止して講義を受けさせるという実験を行ったと述べています。
講義の直後に確認したところ、電子機器を使用していたグループは禁止されていたグループほど講義の内容を覚えていないという結果になったとのことです。
このようにデジタル機器は、脳の構造を利用して人々をの注意と時間を奪うように設計されており、その結果様々な弊害が出ています。
その危険性はITテクノロジーにかかわる人間ほど知っています。
Appleの創始者のスティーブ・ジョブズやMicrosoftの創始者ビル・ゲイツは自分の子供のスマホの利用を厳しく制限していたというエピソードがあります。
スマホとの付き合い方を考える
もちろん、スマホは非常に便利なアイテムですし、現代社会を生きる上でなくてはならないものです。
しかし、だからと言ってそれを無条件で受け入れてしまっては様々な弊害があります。
スマホとの適切な付き合い方を考えていくことが重要です。
スマホの危険性から身を守るための対策
『スマホ脳』では下記のようなことが対策として、推奨されています。
自分のスマホの利用時間を知る
私たちがスマホにどれだけ依存し、時間を奪われているかを知るために、まずはアプリなどを使って利用時間を計測してみましょう。
毎日数時間スマホをオフにする時間をつくろう
デジタルデトックスを行う時間を意識して設定しましょう。
スマホにカラーフィルターの設定をしよう
色のない画面の方がドーパミンの放出量が少ないことがわかっています。
やってみると、けばけばしい色によって脳がハックされ、「次へ」ボタンを押さされていたのかわかります。
チャットやメールは確認する時間を決めて、通知はオフにしておく
自分の集中を阻害することがないように工夫してみましょう
スマホを寝室に置かない
ブルースクリーンを見ると脳が眠りに入るのが遅くなります。
SNSは交流のツールとして活用する
積極的にコミュニケーションを取って関係性を築きましょう。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』からの恐怖の引用
ipodやiphoneの開発に携わったアップル社の幹部トニー・ファデルも、スクリーンが子供たちを夢中にさせる点について同意見だ。
「冷や汗をびっしょりかいて目を覚ますんだ。僕たちはいったい何を創ってしまったんだろうって。うちの子供たちは、僕がスクリーンを取り上げようとすると、まるで自分の一部を奪われるような顔をする。そして感情的になる。それも、激しく。そのあと数日間、放心したような状態なんだ」
読書した際にはぜひ読書会にご参加ください!
アウトプットすることで本の内容を記憶に定着させるとともに、考えたことをシェアしましょう!
お待ちしております!