カズオ・イシグロ『日の名残り』のあらすじと感想【読書会レポート#16】

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カズオ・イシグロ『日の名残り』のあらすじと感想【読書会レポート#16】

【読書会レポート#16】紹介された本:カズオ・イシグロ『日の名残り』

カズオ・イシグロ『日の名残り』早川書房、2001年。

カズオ・イシグロ『日の名残り』のあらすじ

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。

美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。

長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。

しかし、その旅の最中でダーリントン卿が第二次世界大戦中にとある陣営に肩入れをしていたという「噂」を耳にし…

(参考:Amazon

カズオ・イシグロ『日の名残り』に対する紹介者Hさんの感想・観点

・主人公の執事は、自分は偉大な主に伝えていたと思いたいので、真実を拒絶して葛藤します。そして同時に同じような構造の葛藤を女中頭への恋心にも反映しています。

・人が自分で自分の記憶を捏造するという、人の心の動きの深いところをうまくとらえています。

カズオ・イシグロ『日の名残り』について読書会で話題になったこと・感想

※ネタバレ注意

いわゆる「信頼できない語り手」の作品です。主人公の一人称の文体で書かれていますが、主人公の誤った認識や見たくないものを見ない姿勢に立脚して地の文が描かれています。

なるほど、そういったパターンの記述トリックもあるんですね。

主人公は最後の最後、60歳にして自分の人生は言い訳の中にあったことに気づきます。私だったらその歳になって気づくのは嫌です。笑

逆にその歳になって自分を変えられるのはすごいですね。20代を過ぎると人は自分のパーソナリティを変えるのが脳科学的に難しくなるようですよ。

語りのトリックそのものが、人間心理の複雑さを反映しているのはすごいと思いました。

カズオ・イシグロ『日の名残り』に対する投稿者の感想

自分の受け入れたくない真実を受け入れるというのは非常に大変です。

「真実」が白黒が100%はっきりすることが現実に少ない以上、足りない「%」をめぐって人は「解釈」をします。

それは自分の価値観に基づく「自分の物語」です。

認知的整合化も働き、自分の価値観を肯定するような解釈を行いがちです。

その人間心理を文の内容ではなく、文体というメタレイヤーで表現するのはおもしろいなと思いました。

 


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