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チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』のあらすじと感想【読書会レポート#7】
【読書会レポート#7】紹介された本:チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』
チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』筑摩書房、2018年。
チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』のあらすじ
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかの様子のキム・ジヨン。
誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児……キム・ジヨン(韓国における82年生まれに最も多い名前)の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。
「キム・ジヨン氏に初めて異常な症状が見られたのは九月八日のことである。(……)チョン・デヒョン氏がトーストと牛乳の朝食をとっていると、キム・ジヨン氏が突然ベランダの方に行って窓を開けた。日差しは十分に明るく、まぶしいほどだったったが、窓を開けると冷気が食卓のあたりまで入り込んできた。キム・ジヨン氏は肩を震わせて食卓に戻ってくると、こう言った」(本書p.7 より)
(引用元:Amazon)
チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』に対する紹介者Kさんの感想・観点
※ネタバレ注意
・主人公が受けている社会からの女性の抑圧のエピソードは、女性としては特別極端な事例ではないです。男性の方の感想を聞いてみたいです。読んでショックを受ける人こそ読む必要がある本です。
・男女格差にもいろいろな向き合い方がされています。格差をあえて使用する人もいれば、格差の価値観そのものをひっくり返そうとする人もいます。それが、話を複雑にしている。
・この本を受けて自分がどうあるべきか、中々結論が出ないです。少なくとも女性抑圧の価値観を再生産しないように生きていきたい。
チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』について読書会で話題になったこと・感想
※アイコンは別の人が話しているという対話の流れを表現しているだけで、そのまま話された方の性別を反映しているわけではございません。

他人事とはおもえないですね…

マイノリティ側が社会に対して抗うためには、別のマイノリティ集団にと連携することも重要ですよね。

BLM運動にLGBTの方も参加されているという話を聞きました。その文脈もあるかもしれないですね。
チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』に対する投稿者の感想
男性として読んでいて、いろいろ考えさせられる話です。
また、同時に言及したり取り上げるのが少し難しい作品でもあります。
いじめの問題と同様に、有利な状況にある側が格差に鈍感ということは往々にしてあることですが、非対称な社会の構造に無自覚ではいられないと感じました。
本作には客観的数値等のデータと微細に描写された具体的エピソードがふんだんに盛り込まれていて、小説というよりは告発文のようで、筆者の叫びが痛いほど伝わってきました。
しかし、同時に小説として読者を飽きさせない仕組みが色々とちりばめられていて、すごいなと感じました。
例えば、ホラー映画と類似の緊張感を持ったストーリ展開だったと思いました。
助かった!と思ったらまた危ない!また助かったと思ったら…この繰り返しがホラー映画ですが、それを想起させました。
ラストの医者のシーンはまさにホラーでゾッとしました。
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